スパルタスロン完走記

2007.9.2829

 

9月28日午前4時起床。市販の睡眠改善薬を飲んで寝たのに緊張のせいか熟睡できず・・・

着替えを済ませて朝食、準備が終わるとバスの出発時間まで写真撮影。楽しいひとときでした。でも、バスに乗ると一気に緊張。246キロという距離は萩往還で経験しているけど、10時間のタイム短縮は本当に可能なのか?ん〜ここまできたら自分を信じて走るしかない!!30分程でバスはアテネに到着、覚悟を決めてスタート地点へ。

ここでもみんな写真撮影で大忙し。あっという間に7時になりまだ薄暗い中スタートしました。憧れの「スパルタスロン」本当に走っているんだ、と思うと嬉しくてついついペースアップしそうになるけどここは抑えてペースを守ります。40キロまではキロ6分、エイド休憩を考慮して4時間5分〜10分を目標に走ります。

大渋滞のアテネ市内、道路はランナー優先ですが一箇所だけ信号待ちがあったらしく10キロもいかないところでnaoちゃんと離れ離れになってしまいました。だんだん日差しが強くなってきましたが乾燥しているのであまり汗はかきません。でもエイドでは水分・塩分補給を忘れずに!20キロ過ぎたあたりで子供たちがずら〜っと並んでお出迎えしてくれました。嬉しくて笑顔でみんなにハイタッチ、パワーをもらいます。30キロ位からどんどん暑くなってきたのでエイドのペットボトルをもらって頭からかけながら走ります。きれいなエーゲ海が見えた頃アップダウンが始まりますが、まだまだ元気なので順調に走れます。40キロ到着は4時間9分、6分しか貯金はないけど予定どおり。81キロヘラスカンまで41キロを5時間以上かけていいので少し気楽になりました。

お昼を過ぎて日差しはどんどん強くなるけど日本の夏よりはマシかな。暑かったけれど水をかぶってしまえば割と平気でした。普段の練習は夜ばかりなのに意外と走れるもんですね。81キロ(ヘラスカン)に9時間5分で到着、25分の貯金。ここで故障のためDNSのF見さんが「荷物探してきてあげるから早く補給しなさい」と出迎えてくれました。感謝・感謝!次にお会いしたのはアロハさんと楽松師匠、よく見るとゼッケンが無い!えーっっリタイア!?お二人とも月間1000キロ以上走れる凄いランナー、信じられませんでした。預けておいたおかゆを食べて、さぁマッサージでも受けようかと思ったらみんなに「休みすぎない方がいい、早く出発しないと」と言われnaoちゃんの関門通過を願いながら慌てて出発。

 

この後は関門がゆるくなるから楽になるかと思っていたら大間違い。夕方の西日が非常にきつくて予想外の暑さが続きます。さっき受け取った長袖なんか全然必要ない・・・そして思ったよりも日が長く、まだ明るいうちにライトを預けたエイドに到着。さらにウィンドブレーカーも受け取り大荷物になってきました。19時頃やっと暗くなってきて前後のランナーもまばらに。暗い畑の中の道をしばらく一人で走りました。日が落ちて気温が下がってくると少しでも貯金を増やすため、エイド休憩を最小限にして水と食料をもらったら歩きながら補給、すぐに走り出すの繰り返し。この辺は結構頑張って走れました。124キロ(ネメア)には22時11分到着、貯金は49分。しばらく単独走が続いていたので、たくさんのランナーで賑わっているこの大きいエイドに着いてほっとしました。ここで同室のN瀬さん発見。この先に待っているサンガス越えが一人では不安だったので一緒に行こうと声を掛け出発。

 

ところがN瀬さんはさっき飲んだ痛み止めが効き始めて絶好調。5キロほど頑張ってついていったものの全くペースがあわない・・・まだ100キロ以上残っているので無理せず先に行ってもらいました。またしばらく一人で走っていると信じられない光景が。前を走っている2人の女性ランナー、近づくにつれゼッケンNoで日本人だとわかり頑張って追いつくと、なんと昨年女性2位のジョイナーさんとネイチャーと萩往還連戦してしまうY子さん!どうやら日中の暑さのせいで胃をやられてしまい何も食べられず苦戦している模様。この後数十キロにわたって前後して走りました。少し眠くなってきた頃148.5キロ(リルケア)到着2時14分、貯金は46分。深夜にもかかわらず、ここでもF見さんが待っていてくれて「naoちゃんも頑張って走っている」と聞いて元気がでました。今度こそマッサージと思ったら「あまり休みすぎちゃアカン、山は危ないからみんなについていかないと!」というF見さんのアドバイスでジョイナーさん、Y子さん、優勝レース多数のR奈さんという凄〜いメンバーと一緒にサンガス越えをすることになりました。

 

歩きと走りを繰り返しながら進んでいると山が見えてきました。遥か上の方でランナーらしきライトの光が動いています。あんな上まで行くのか・・・少し嫌になってきました。しかも水の飲みすぎ?眠気覚ましの薬のせい?気持ち悪くなってきました。でもここでみんなの足を引っ張ってはいけないと必死についていきました。九十九折の長い長い舗装路が終わるといよいよ本格的な山道に。岩がゴロゴロ、足場が非常に悪くて体重のかけ方を間違えると足元の石がガラガラと崩れて滑り落ちます。とにかく崖には落ちないように注意!手も使って這うようにして登るところもありました。何とか山頂に到着、冷たい風が吹いて気持ち良い!座り込んで星空を眺めながら少し休憩。それにしてもこんな所にエイドがあるなんて・・・スタッフのみなさんに感謝です。休みすぎると冷えてしまうのでボチボチ出発。山下りが苦手な私は滑りやすい道をヨチヨチ歩き、あっという間に3人の姿は見えなくなりました。一人で慎重にゆっくり歩いていると(それでも転びました。しかもしばらくズルズル滑り落ちて怖かった・・・)後ろから「あれ、kotomiちゃん!?」振り返るとnaoちゃんでした!「あ〜naoちゃん!よくここまで頑張ったねー!!」感動の再会。ところが再会は束の間、naoちゃんは凄いスピードであのサンガスを駆け下りていきました。え・・・ウソでしょ?今のnaoちゃん幻覚?「ジョイナーさん達に会ったら先に行くように伝えて」と大きい声で呼び止めたら返事があったので本物でした()naoちゃんについていきたいけど私にはあんなスピードで山下りする勇気はありません。一歩間違ったら死ぬぞ・・・マイペースでヨチヨチ歩きを続けました。命懸けのサンガス越えが終わり舗装路に出て走り始めると、意外なことに足が軽くなっていました。山越えでずーっと歩いたのが休憩になった!?ウルトラランナーって凄い()そして胃の調子がおかしくなってから水を飲むのをやめてぬるま湯に切り替えたのが大成功、だいぶ回復してきました。キロ6分で走れるようになったので前を行くnaoちゃんを目標に頑張って走り続けました。あたりが少しずつ明るくなってきた頃172キロ(ネスタニ)に6時54分到着、貯金は36分。じわじわと貯金が減ってきました・・・

 

ここでnaoちゃんに追いつき、しばらく一緒に走ることができました。「スパルタで少しでも一緒に走ることができて良かったよね」「naoちゃんの山下りは超人的だった」なんて話していると、体はクタクタなのに気持ちはどんどん元気になってきました。そろそろ歩きたいな〜と思ってもnaoちゃんの頑張っている姿を見たら、いや、まだまだ走れるはず!という気持ちになれて本当に精神的な支えでした。日が昇り少しずつ気温が上がってくると歩きが多くなってきましたが、ウルトラには必ず復活があると信じて進み続けます。すると本当にきました、復活の瞬間!!何がきっかけかわからないけど1区間走り続けることができました。このまま行けそう、今が頑張り時!エイド休憩も最小限。振り返ってもnaoちゃんは見えなくなってしまい、又別々に。naoちゃんならきっとできるはずと信じて走り続けました。195キロテゲア到着1014分、貯金は46

 

いい感じで走ってきたけど、遂にきてしまいました200キロからの長い長い上り坂。日差しはきついし日陰はないし・・・みんな歩いています。もちろん私も歩き。水をかぶったり「いっちに、いっちに」と声を出したり「ゴールするぞー!」と叫んだり。気持ちが切れないように必死でした。いつまでも続く上りにうんざりしてきた頃、前を歩いていた韓国人ランナーが急に立ち止まり、私の方を振り返って空のペットボトルを差し出しました。水がなくなってしまい脱水寸前のようです。私のボトルも残り少なかったけど、ここまで頑張った仲間を見捨てるわけにはいきません。半分分けてあげると、うれしそうに「ありがとうございました」と日本語でお礼を言われビックリ。後で知ったのですがネイチャーにも参加しているそうです。この後数百メートルでエイドがあり、2人とも脱水にならずに済みました。そして辛い終盤戦、ちょっとうれしい事がありました。エイドを出発する時、外国人男性が私に向かって「beautiful!」と声援。女性にはこうやって応援しているのかな?なかなか良いサービス()とか思いながら笑顔で応えて走り出すと、次のエイドにも同じ人がいて「beautiful!」、次も、そのまた次も。どうやら私についてきて応援しているみたい。全然知らない人なのに???ついにこの男性、理由を教えてくれました。「beautiful smile

だそうです。「ブラボー」という声援、車からのクラクションの応援が嬉しくて、私はみんなに手を挙げて笑顔で応えていたんです。楽しそうに走る私を見たこの男性、笑顔が最高と褒め称えてくれたのでした。この男性のおかげで随分足取りが軽くなりました。私って意外と単純なのね()ついに最後の大きいチェックポイント、222.5キロ(モニュメント)には1450分到着、貯金は40分。もう大きなアクシデントが無い限り完走できる!そう確信したら気持ちに余裕がでてきて、naoちゃんと一緒にゴールしたいと思いました。少し長めに休憩し、naoちゃんが追いついてくるのを待ちながら歩きでゴールを目指すことにしました。

 

それにしても2日目の暑さは本当に辛かった!肌に突き刺さるような日差し、疲労でかなり弱っているので暑さがますますこたえます。一瞬目の前の景色がぐるっと回りました。やばいっっ熱中症?ここまできて倒れたら洒落になんない!!顔にバシャバシャ水をかけて軽く頬を叩き気合を入れます。だいぶ歩きが続きました。歩いているうちにだんだん調子が悪くなってきてこのままではゴールできないかも、と弱気に・・・。naoちゃんとのゴールは諦め、倒れる前にゴールするため最後の力を振り絞って走り出しました。あと少しでスパルタの街、山道の最後で自転車の子供たちが待っていてくれました。タラちゃんが作ってくれた帽子をみせて「my name is kotomi」と自己紹介。しばらく伴走してくれて「あと7キロだよ、またゴールで!」と走っていきました。子供たちに元気をもらって少し脚が軽くなり、いよいよゴールかと思ったら早くも涙が・・・スパルタの街に入ると車から、お店から、マンションから、いたる所で「ブラボー!」の声。全ての声援に手を振って応えます。最後のチェックポイントを越えると自転車の女の子が伴走についてくれました。「おなかが空いて力がでないよ」と言うと「あと1キロだから頑張って」さぁゴールだ!どんどん声援が増えていき、レオニダス像へ向かう一直線のビクトリーロードには沢山の人が!早くゴールしたランナー、リタイヤしたランナーの姿もあり、みんなの顔を見たら涙がボロボロ止まりません。最後の走りを目一杯楽しんでいるとN渡さんが伴走してくれました。超贅沢なエスコート!遂に1840分、レオニダスの足にタッチしてゴール!!

 

あぁ良かった、ここまで来れた・・・ほっとしたのも束の間、「お水飲むまねして、冠もらうから帽子とって、写真撮ってもらって」N渡さんに言われるがまま動きます。うーんもう少し感動に浸りたかった(笑)写真撮影が終わると救護テントに行き、靴を脱がされ足を洗ってもらいます。時計をみるとあと10分切ってる!naoちゃん間に合うかな・・・ホテルに着くと、とりあえず着替えだけしてベッドに倒れこみました。しばらくするとnaoちゃんが帰ってきて「3分前(←時計が進んでいて本当は5分前)にゴールしたよ!」おぉ〜やった!!祝杯挙げたい気分だけど2人とも疲労困ぱい、歩くこともままならず表彰式の花火の音を聞きながら寝ていました。一眠りして目が覚めるとnaoちゃんに「完走できたんだから握手しようよ」と言われ、あ〜夢じゃなかったんだ、と改めて感動。応援してくれたみんなに「完走」という最高のお礼できるんだ、みんな本当にありがとう。思えばnaoちゃんなしでは私のランナー人生は語れません。3年前走り始めた頃はもちろん、ウルトラにはまり始めてからもスパルタスロンなんて考えもしなかった。ある日naoちゃんが「スパルタスロンに行きたい」と言いだした時は「またおバカなこと言って・・・」と半分呆れてました。私の考えが一変したのは萩往還140キロ、naoちゃんと手をつないで超感動のゴールを果した時。naoちゃんと一緒ならスパルタ目指せるかも、一気に気持ちはスパルタモード。数ヵ月後の甲州夢街道でnaoちゃんと一緒にスパルタ出場資格をゲット。はっぴーずの仲間たちと知り合うことができたのもnaoちゃんがいたから。こんな素晴らしい経験・最高の思い出を本当にありがとう!

                                                        おわり